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古屋酒造店 代表

荻原 深

Fukashi Ogiwara

酔いどれの、泣き虫
一途で面倒くさい男

  
荻原 深

古屋酒造店には面白い名前の酒がある。丸く、笑っているような字が並んだ「和和和」。「和の心で和らぎ和んでほしい」と名づけたという。荻原が蔵人として一人前になった頃、看板商品の深山桜とは一線を画した酒として造った。杜氏としては駆け出しの、しかし、大学院や酒類総合研究所で研究を重ね、蔵に帰って酒造りも経験してきた自分のありったけで醸した。以来10年、試行錯誤を重ねてきた。「酒造りのおもしろさは『わからない』こと。同じスペックのものを何本も仕込んでいるわけではないので、仕込み一本一本が一発勝負で、その期の傾向がわかる頃には造りが終わる。米の出来、気温、水、酵母など、複合要因が多いから、毎年一年生みたいなところもあります」と、考えながらぽつぽつ話す。酒は造るのも飲むのも好きで、酔うと泣きながら語るらしい。「13蔵イチの泣き虫」であることに、皆異論はないようだ。自分の酒造りで、もっと高く、もっと遠くに飛びたいともがいている。素面のときは理論派なのだが、酔って酒への思いが制御不能になると、涙が溢れてしまう情熱的な男なのだ。そんな荻原に白羽の矢を立てたのが「信州醸熱タンク」を企画する3つの酒販店だった。

 
荻原 深

信州の酒を、蔵を、もっと世に知らしめたいと、蔵元と協働して酒を造り、タンク1本をまるごと買い上げて蔵元の挑戦に報いる。そのラベルには、“熱く醸す。それが、醸熱(じょうねつ)。その酒を、タンク丸ごと情熱で伝える。ならば、熱く喰らおう!その酒を。「冷やでもヤケドするぜ!」”と書かれている。この「醸熱」という言葉の誕生には、荻原が深く関わっている。「思い切った挑戦ができるのはうれしかったけれど、商品として出荷されることが決まっているだけに失敗はできない。ものすごい緊張感の中で造りました。試飲で『いいね』と言ってもらえたときには心の底からほっとしました」。3年続けたこの取り組みは、荻原にとってひと皮もふた皮もむける機会になった。それでもまだ更なる高みを目指してもがいているのだが。家族の他には大杜氏とパートさんだけの小さな蔵だから、仕込みも配達も事務仕事も、何でもやる。10月から4月までは丸1日休める日はないが、苦にはならない。誰が言ったかは忘れたが、「幸せであるというのは、楽しいことができるということではなく、やらなければならないことを楽しめるということだ」という言葉が好きだ。一日働いたあとの一杯は、また格別なのだ。

株式会社古屋酒造店

385-0025 長野県佐久市塚原411
TEL 0267-67-2153
FAX 0267-67-2958
http://www.miyamazakura.com/

創業明治24年。「青葉まじりに みずみずしく咲く 深山桜」と詠われた酒蔵が誕生した。清酒・焼酎・ワイン・ブランデー・リキュールと多彩な酒類を広角的に製造することで得られた技術を、それぞれの商品に活かしている。 「挑戦」と「研鑽」をモットーに日々の努力を怠らず、成長を続ける酒蔵である。

  • 純米吟醸 深山桜

    穏やかだが上品な香りが広がり、軽快な口当たりと柔らかな味わいが特長的な純米吟醸

  • 精撰 深山桜

    口に含んだ瞬間は軽やかだが、しっかりとした米の旨味が広がる。飲み飽きしない地元で愛され続ける定番酒

  • 和和和 純米吟醸 美山錦

    芳醇な香りが口いっぱいに広がり、しっかりとした旨味と味わいが膨らむ。バランスよい酸味がシャープなキレを生んでいる。

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