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佐久の花酒造 代表

高橋 寿知

Hisatomo Takahashi

飾らない男の描いた花

  
高橋 寿知

「いつか、雑誌に載るような酒にできたらいいね」。これは20年程前、高橋が佐久に戻って酒造りに取り組んでしばらく後に、地元の酒販店の店主と3人で語った“夢”だった。その時には、3人ともかなうとは思っていなかったのだが。そもそも高橋には酒蔵を継ぐ気はなく、大学は工学部を卒業し、銀行系システムエンジニアとして東京で就職した。仕事は手ごたえもあり楽しかったが、31歳のとき厳しい経営が続いていた蔵を畳むために佐久に戻った。だが、畳んで終わりというわけにもいかない事情があり、綱渡りのような蔵の立て直しの舵をとることになった。酒造りも一から学んだ。長野県醸造試験場の所長だった馬場先生に教授された「完熟した醪を造りましょう」という教えが、今でも蔵の土台だという。米、麹、水、酵母、人、その酒に関わるすべての物の力を引き出し、完熟させて搾る。しっかり手をかければ、質の高いうまい酒は造れる。米を育てるところから、最終商品を作るところまで一貫して行うこの仕事は、やってみれば面白かった。しかし、販売には苦労した。地元では酒販店ごとに扱う銘柄が決まっている場合が多く、入り込める余地はあまりなかった。心が折れそうなことが何度もあったが、相談に乗ってくれ、支えてくれたのは、先の地酒に力を入れる酒販店店主で、年齢も近い2人だったという。

 
高橋 寿知

エンジニアらしく緻密な計算の上に成り立つ試行錯誤が酒の質を高めていき、信州産の酒米「ひとごこち」、長野酵母、千曲川の伏流水で醸した無濾過生原酒は佐久の花の名を全国に広め、今では東京をはじめ、全国各地の酒販店に、飲食店に様々な種類の佐久の花の酒が並ぶ。そして、あの頃の夢は現実になった。「お酒の味は、造る人だけでは決まらない。店で売ってくれる人、レストランや家庭で注いでくれる人、料理を作ってくれる人、みんな合わせての酒の味になるんです。これまでやってきたことを見ていてくれて『お前んとこの酒売るわ』という人の気持ちに応えたいから、もっといい酒を造ろうと思うんですよね」と高橋は言う。自分が苦労して拓いた販路を佐久の若い跡継ぎたちに紹介したり、造りのことを聞かれれば惜しみなく答えたりする。「自分は何もないところから始めるしかなかったから、自由な絵が描けた。酒の世界はしがらみも多いけれど、若い人たちはそれを一度忘れて自分の描きたい絵を描いてみて、それから調整したらいいと思う。いい酒とは何ぞや、の問いに答えはないけれど、自分にとってのいい酒は何かを知ることは大事だと思うんだよね」という。「みんなで切磋琢磨して、佐久が銘醸の地になるように、自分ができることをしていけたら」と語る高橋。熱い話は夜が更けるまで続くのであった。

佐久の花酒造株式会社

384-0414 長野県佐久市下越620
TEL 0267-82-2107
FAX 0267-82-9468
http://www.sakunohana.jp/

明治25年小海線三反田駅前(現臼田駅)で創業する。五味が調和し呑んだ時顔がほころぶような酒を造りたいと酒造りに取り組んでおります。酒造りに関わる全ての物(米、水、酵母、麹、人)の力を全て引き出した酒造りを目指しております。

  • 佐久の花 純米吟醸 無ろ過生原酒

    豊潤な米の旨みと心地よい吟醸香、さわやかでみずみずしい酸が調和した酒。当社の原点と言える酒です。。

  • 佐久の花 純米吟醸 無ろ過生原酒 spec d

    長野県で開発された長野d酵母を使って醸した純米吟醸酒。香高く米の濃潤な旨みを感じる酒でありながら味引けが良く呑み飽きしない酒です

  • 佐久の花 辛口吟醸

    程よい香りがあり米の旨みをほのかに感じる辛口の吟醸酒。テーマは旨みを感じながらもどこにもさわらずさらさらと呑める酒です。

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