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武重本家酒造 代表

武重 有正

Arimasa Takeshige

哲学者? 教授?
いや、博士です。

  
武重 有正

武重本家酒造は、中山道茂田井宿にある。まるでそこだけ時間が止まったような、白い塗り壁に格子戸、瓦屋根の建物と、開渠の水路のある細い道。武重家住宅と武重本家酒蔵の建造物30棟は、国の登録有形文化財に指定されている。立派な構えの門をくぐれば、搾りたての酒だろうか? いい香りが漂ってくる。迎えてくれた当主は、立派な髭と眼鏡の奥の冴えたまなざしが印象的で、哲学者とか大学教授のような雰囲気があり、思わず「先生」と呼んでしまいそうになる。御園竹は、地元でずっと飲まれてきたお酒。その昔、農業従事者が多く酒が相対的に高かった時代には、「一杯で満足できるお酒を」との思いから濃醇で甘口の酒を造ってきた。時代や社会が変わり、今は辛口になっているが、生酛造りの骨太な味わいであることは変わっていない。生酛造りは手間のかかる伝統製法だが、造りに必要な暖気樽や半切桶などの道具造りも含めて継承してきた。普通酒にもこの製法で造った山廃酒を入れて、味わいを深めている。その一方で、「お酒に強くない方のために」と低アルコールで発泡タイプの「泡泉花(ほうせんか)」や、にごり酒の「十二六(どぶろく)」といった商品も手がける。

 
武重 有正

十二六は蔵開放の折りに「せっかく蔵までお越しいただくのだから、この時だけ味わえる特別なものを」と用意したものが評判を呼び、商品化したのだという。10月26日の解禁日に由来するこの酒は、ともすれば噴き出したり、味が変わったりする繊細な商品ゆえに、晩秋から冬期のみ予約醸造で造り、ガスを抜くための特別な栓をし、消費期限つきで販売する。今では冬の定番商品となっている。「流通の仕組みを作って商品化したのは面白かったですね」という武重は、東京大学工学部で博士号を取得し、まだPCが普及する前にコンピュータ関連の会社を経営していたこともある。修士課程のとき、仕事でハンガリーに滞在することがあり、「ヒゲをはやして行かないと、酒が買えないぞ」とアドバイスされて以来、伸ばしたままなのだそうだ。「無精髭のなれの果てですよ」と笑う。春の蔵開放は今年で19年目を迎え、1日で1800人の人が蔵を訪れた。「来てくださったお客さんと、もう少しお酒の話をできるといいと思うんですがね」。少し照れたようにそう話す彼は、人前に出るのがニガテだと言いながらも、人がニガテなわけではないようだ。

武重本家酒造株式会社

384-2206 長野県佐久市茂田井2179
TEL 0267-53-3025
FAX 0267-53-5253
http://www.takeshige-honke.co.jp/

旧中仙道の街道沿い、なんとなく時間がゆっくりと流れる様な佇まいの中、昔ながらの製法でお酒をゆっくりゆっくりと醸しています。伝統を守り、味を守ること。いつでも新しい味を追求すること。一流の地酒を造り続けることをモットーとしています。

  • 御園竹

    地元で長く愛され続けている定番酒です。冷やで良し、燗でなお良しの旨い酒。やや味のあるタイプです。若山牧水も「良き酒と 人の言ふなる御園竹 我も今日飲みつ 良しと思へり」と詠んだお酒です。

  • 牧水 生酛 純米

    昔ながらの製法でゆっくりと醸した味のあるお酒を、1年以上じっくりと熟成させて、旨みが乗った状態で出荷する、やや辛口のお酒です。冷や(常温)で力強さが感じられ、ぬる燗で味が丸さが楽しめます。

  • 十二六 甘酸泡楽

    10月から3月まで、予約生産で製造している活性どぶろく。米の甘味が十分に残り、キリリとした酸味、舌の上で弾ける炭酸ガスの泡も加わって、口の中いっぱいに楽しさがひろがるお酒です。

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