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伴野酒造 杜氏

伴野 貴之

Takayuki Tomono

ストイックでよくばり、
ピュアで邪…

  
伴野 貴之

伴野のテーマソングは、河島英五さんの「時代おくれ」だという。“目立たず、はしゃがず”…、自分自身もそうありたいし、酒も一歩控えめで、それでいてきれいな酒を造りたいと思っている。「自分の中に、こういう酒が造りたいってイメージははっきりある。だけど、まだたどりつけてない自分がもどかしくて、いっつも悶々としています」と視線をテーブルに落としながら話す。13蔵の他のメンバーから見た伴野は「ストイックに理想の酒を追求する男」。酒造りにこんなに強く思い入れるようになるとは、伴野自身も予想していなかったという。別にやりたいこともなかったから、親の勧めで東京農大の醸造科に進み、その後、外食チェーンに就職した。“待ってくれない街”東京で、ついていこうと必死で働き、認められる喜びも知った。だから、戻ってほしいと言われて帰って来た故郷では、目標を見つけられずにいた。蔵に入って3年目、70歳の杜氏がその年限りで引退するのを機に、自分が杜氏を引き受けた。「一度造ってしまったら、それを知らなかったときには戻れない。昔からあるからとか、そんな理由に縛られずに、自分が信じられるものを造り、売って行きたい」と、ラベルも中身も自分のありたいと思う方向に変えてきた。

 
伴野 貴之

「10年かかりました。でも、まだまだ全然です。東京で売れるキャッチーな酒と、自分が造りたい酒は違う。蔵元はもっとエゴイスティックでいいと思うけど、そういいながら自分の殻を破りきれない…」。いろんなことを考えて、いつもモヤモヤしてしまうのだという。もったいないなぁ。ちょっとすっきりさせれば、絶対モテ系だと思うのに。「新しいものを作ることより、今あるものを掘り下げて突き詰めることに惹かれるし、他の造り手でそういうふうに自分と向き合っている人は、男として素敵だと思う」。そんなカッコいいことを言いつつも「でも、ちょっとはキャーキャー騒がれたい気持ちもあるかなぁ」と邪な気持ちものぞかせる。ストイックでよくばり、ピュアで邪…。つまるところ、そんな面倒くさい自分を持て余しているのでは? こういう人の奥さんはきっと大変だと思う。それでも、「ああ、ため息が出るほどうまい酒を造りたい」なんて言われてしまうと、つい応援したくなってしまうのだろうけれど。 

伴野酒造株式会社

385-0053 長野県佐久市野沢123
TEL 0267-62-0021
FAX 0267-62-0078
http://www.sawanohana.com/

明治34年(1901年)創業。長野県産の酒米“ひとごこち”“美山錦”と八ヶ岳系千曲川伏流水で酒を醸す。代表銘柄「澤の花」のコンセプトは、一盃が“旨い”、二盃が“心地良い” 清らかな酒。ストイックで繊細な酒造りがモットー。銘柄は澤の花、Beau Michelleなど。

  • 澤乃花 花ごころ 本醸造

    長野県産ひとごこちで醸す定番酒。皆で語らうのに一番似合う地酒。

  • 澤の花 花あかり 純米吟醸

    長野県産美山錦で醸す春の季節限定酒。美山錦で醸した純米吟醸酒で春夏秋冬、4種類の味わいが楽しめます。

  • Beau Michelle

    1996年生まれ。甘味、酸味が特徴的で女性的な味わいのお酒。

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