戸塚酒造 代表
戸塚 繁
Shigeru Totsuka
シゲルの辞書に
「休肝日」などない
昭和レトロなアーケードがある岩村田商店街に寒竹の戸塚酒造店はある。そして、その店の裏に小さな酒蔵がある。「ええ~、ここに⁉」と驚くが、江戸時代から岩村田藩の御用達商家だったと聞けばうなずける。江戸の多士済々との交流も広く、勝海舟の賛と書や書家の作も所蔵している。16代目という戸塚は「明治以降は苦しい時代が続き、戦時中は統制にあった復活蔵ですから、親父の代でようやく持ち直したところです」と言う。先代は3倍醸造や甘みを添加するのが主流だった時代にいち早くその流れから抜け、酒を酒らしく造り地元での支持を広げてきた。看板商品の寒竹は、今でも普通酒が大きなウエイトを占めている。他のメーカーの普通酒に比べて値段が高いのにもかかわらず、売れ行きはよいという。「おかげで、海外輸出や熟成酒など、新しい分野にも挑戦できます」。新酒を標高2000mの高峰高原に雪中貯蔵するアイデアは戸塚が始め、黒澤酒造(八千穂高原)が続き、昨年から大澤酒造(白樺高原)も加わり3社で飲み比べの連携もした。さらに、小諸の布引観音近くにある風穴(空気の循環により温度・湿度が一定に保たれ、冷蔵庫や保管庫の役割を果たしてきた洞窟)を借り、酒を貯蔵・熟成させて新たな商品を企画している。同い年の黒澤酒造社長が「おおらかで人に好かれ、うらやましいぐらい友達が多い」と評し、13蔵の中でもつきあいのよさ、広さに定評のある戸塚だが、「何かしようと自分が動いていると、そこで人に出会ったり、チャンスが来たりします」という。
雪中貯蔵をしていたら、こういうところもある、と風穴の持ち主に引き合わせてもらったり、酒の原料になる米を生産している軽井沢で知り合ったのが縁でアメリカ人アーティストに新しい酒のラベルを作ってもらったり、はたまたJAとのつながりがきっかけでクラフトビールの新商品誕生に関わったり…。「自分の役に立たないことも多いんですけどね。でも、みんながwin-winでつながるとうれしいし、出会う人から新しいシゲキをもらってどんどん仕事がおもしろくなる」と、実に楽しそうだ。戸塚はSAKU13の生みの親だ。13蔵で田植えから稲刈り、醸造まで一緒に行い、1つの酒を醸した。「ところどころ参加できない人もいたけれど、まずはやってみることが大事だったから」。人とのつながりを大切にする戸塚だからこそ、やれたことではないだろうか。戸塚酒造でも、今年から友の会を始めた。地元の寒竹ファンはもとより、各地からデザイナーや建築士、ギャラリーオーナーやアーティストなどが集まり、田植えから仕込みまで一緒に行う。「ふだん会うことがない人達がみんなで作業して酒を造る。そうやってできた酒をみんなで飲むのがすごく楽しみなんです」と言う。人が好きで酒も好き、しかもめっぽう強いこの男。「オレの辞書に休肝日などない!」と豪語しそうだが、そろそろ身体のことを考えて飲んでほしいと、彼を想うたくさんの人に心配されているはずだ。
戸塚酒造株式会社
385-0022 長野県佐久市岩村田752
TEL 0267-67-2105
FAX 0267-67-3700
http://www.kanchiku.com/
戸塚酒造の始まりは駿河の国(静岡県掛川市)からこの地に移り住んだ戸塚平衛門。彼が駿河で学び自家用で始めたどぶろくがやがて宿場で評判となり、本格的に酒造りを始めるようになりました。以来360余年16代に渡りこの地で品質一筋の酒造りに励んでおります。
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寒竹
しっかりと存在感のある飲み心地は、”米の旨み、水の味” 原料にこだわり工程にこだわり、原料そのものの良さを生かす酒造りからです
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自家栽培米 寒竹 純米吟醸
佐久平の地で生まれるお米・名峰を源とする伏流水・酒造りに適した気候風土の中でゆったりと美酒を醸しています。
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氷雪貯蔵 特別純米
標高2000M浅間連峰高峰高原の深い天然雪に抱かれ、熟成がゆっくり進みます。雪の中は 温度0℃前後、湿度90%以上、光は入らず柔らかな まるい味わいとなります。